Photography - HIRO
Text - MINA
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Ogojo Canada
Keiko Matsushita, founder
Credits
Photography - HIRO
Interview - MINA
「どうしたら「つなぐ・つたえる」ことが出来るかと考えたときに、日本らしい商品を購入してもらうことが一番形にしやすいと思ったんです。Ogojoがカナダに住む日本人女性たちのカナダ社会への架け橋となれればと考えています」
Ogojoとは、鹿児島弁で”女性”のことを言います。そして優しいけれど、芯が強い女性のことを意味します。そんなイメージがピッタリなKeikoさんも鹿児島出身のOgojoです。彼女の作るOgojo Janラー油には、海外で暮らし働く日本人女性の奮闘ストーリーを商品と共に伝えるという大事なミッションがあります。
2003年、日本でアメリカ高校留学プログラムを提供する機関でキャリアを積んでいたKeikoさん。いつかは自分も海外で働きたいと思っていたところ、当時お付き合いをしていた夫がカナダに戻るのをきっかけに、海外で働くことを試してみようとワーホリビザを取ってカナダに来ました。新天地での生活は日本の職歴や学歴も関係なくなり、ゼロからのスタートに戸惑ったそうです。移住から3年後、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)で事務職を始めましたが、上層部が全て白人・Native Speakerである状況を目の当たりにし、見えない言葉と人種の壁に自分の限界を感じたと言います。ここで働き続けるより起業した方が良いと、2人目の子供を出産後に退職をし、翻訳会社を立ち上げました。子育てをしながら働くのは想像以上に大変でしたが、そんな時に心の支えになったのは同じように海外生活を共にする日本人のママ友でした。
交流を深めて行くうちに、Keikoさんのように海外で母親になったり、移民後キャリアを生かせず、思うように活躍出来ない女性がいる事を知り、そんな境遇で暮らす日本人女性のサポートをしたいという気持ちが芽生え始めました。その後、2017年にOgojo Canadaを設立。現地で暮らす日本人と日系カナダ人をサポートする非営利団体「隣組」のお部屋を間借りして、家族が気軽に立ち寄り交流する場を提供するサービスを開始しました。ワークショップを開催したり、人を招いてトークショーをしたり、「人と人をつなげたり、伝えたりすることが好き」と語るKeikoさん。コロナパンデミックを機に、現地の日本人女性を勇気づけようと、カナダに移民してきた日本人女性のインタビューをオンラインで”Japanese Women in Canada”と題して紹介し始めました。「何か一緒にプロダクトがあった方が、彼女たちのストーリーがローカルコミュニティーにより広く注目されるのではないか?」、そんな思いでOgojo Janラー油作りを始めたのです。2019年ファンドレイジングイベントとして開催したKids Marcheでラー油をテスト販売したところ、思わぬ反響をよび、さらに1年ほどの試行錯誤を繰り返し、誕生したOgojoラー油は2022年に正式に発売を開始。
Ogojo Janラー油はビーガンでグルテンフリー。通常のラー油よりも辛さ控えめで、子供から大人まで、食事制限にかかわらず誰でも楽しめる商品です。パッケージの蓋に貼ってあるQRコードからJapanese Women in Canadaのインタビュー記事に飛ぶことが出来ます。ちょっぴり辛いフレーバーとともに、異国で奮闘する日本人の女性達とコミュニティーを結ぶ、そんなお手伝いをしている商品なのです。
VOICE(V): なぜラー油を作ろうと思ったんですか?
Keiko(K): 「その当時、日本で流行っていたラー油でしたが、バンクーバーでは手に入らなかったのが一番の理由でした。今ではオンタリオの「Okazu」さんとか「どりラー油」さんとかあるのですが、2019年はまだまだ珍しい物だったのですよね。当時購入してくださった方たちは、食べてみたかったんです!という感想が非常に多かったです」
V: Ogojoのラー油のこだわりを教えて下さい。
K: 「Chili Sauce=「辛い」ではなく、Chili Sauce=UMAMIと考えて、UMAMIにフォーカスしています。お砂糖も使わずレーズンで代用、お塩ではなくVankojiの塩麹を使うように工夫したこともその理由の一つです。VankojiのオーナーTonamiさんは事業立ち上げ当初から、惜しみなく色々と情報を提供していただきとても感謝しています。また40年以上リッチモンドで日本食ビジネスを手掛けているAmano Foodsのお味噌とお醤油を使わせて頂いているのもこだわりの一つです」
V: パッケージデザインの由来も教えていただけますか?
K: 「パッケージのロゴマークに「風神雷神」と日本の伝統カラー(古色)とも言える赤・シルバー・ゴールドを用いています。赤は神社を、シルバーとゴルドは銀閣寺と金閣寺を連想させますよね。
誰が見ても日系のプロダクトと分かりやすくしたかったんです」
V: Ogojoラー油を使ったお気に入りのレシピをご紹介ください。
K:「Mild Miso Chili Sauceは、サーモンやご飯にかけたり、またカナダ風にポップコーンにかけたりして食べるのも美味しいです。一番人気はHot Chili Sauceですが、個人的にはMild Chili Sauceが一番好きです。辛すぎず、お料理アレンジに使いやすいのでお気に入りです。あまりのご飯にMild Chili Sauceを加えて、チャーハンにすると簡単に美味しい一皿になります。普段のマッシュポテトにかけて食べると一味変わった味になって、こちらもおすすめです。いろいろなお料理に使ってもらえると嬉しいです」
V: どこで商品を購入出来ますか?
K:「バンクーバーのファーマーズマーケットやOgojo Canadaのオンラインショップで購入出来ます。店舗ですと、City Avenue Market、Pomme Natural Market、 Stong’s on Dumbar 、Storm City Coffee、Yamaカフェ、Le Marche St. Georgeです。ローカルビジネスをサポートしてくださる姿勢にとても感謝しています。今年はPNEで開催されるMake It Vancouverと呼ばれるクリスマスマーケットにも出店しました」
V: ものつくりは好きですか?
K:「商品作りのプロセスが好きです。調べたり、ラベルを作ったり、デザインを考えたり、レシピを考案したり、、ものを作る事で、その末端にいる消費者や生産者のことを考えると同時に、どうしたらより良いお金の循環が生めるのかを意識するようにもなりましたね」
V: 2023年の展望をお聞かせください。
K:「この1年チリソースを試行錯誤しながら進んできたので、2023年はExpoに参加してみたり、新しいお店を開拓したり、2022年にはあまり余裕がなくて出来なかったことをやってみようと思います。また、面白いビジネスや商品を作っている人たちとの出会いは、起業時には考えられなかったプラスアルファの要素です。素晴らしい起業家の皆さんとの更なる出会いと繋がりを楽しみにしています」