Photography - HIRO
Text - MINA
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TECHNE Hair and Salon
Masaki Zen
Owner&hairstylist
Credits
Photography - HIRO
Interview - MINA
「TECHNEは最初子供みたいな存在だったので、丁寧に育てて行きたいと思っています。ここは自分を生かせる場所であって、パフォーマンスする場所なのかもしれません。これからも自分とそれぞれスタッフが表現するステージであり続けたいです」
日本は世界でも有数なヘアサロン大国。日本で経験を積んだヘアスタイリストは、海外進出を夢見る人も多く、TECHNE Hair&Salon のオーナーのZenさんもそのうちの一人です。日本で10年以上の経験を積み、カナダに渡り、バンクーバーの日系ヘアサロンで勤務した後、オリンピックビレッジに自分の理想とするヘアサロンを立ち上げました。今では、Zenさん担当の予約は2-3ヶ月待ちというほどローカルに根付く人気サロンです。
オリンピックビレッジのWest 2ndの忙しい道路に面していながら、サロンの店内は明るい光が差し込み、Zenさん自らピックアップした心地よい音楽が流れます。小さな屋外パティオもあり、何か忙しい日常を忘れてリラックスできる、そんな空間が広がっています。
VOICEの古き良き友人でもあるZenさんに、彼のCanadian Dream とスタイリストとしての情熱を語ってもらいました。
VOICE(V): ヘアスタイリストを志したきっかけは?
Zen(Z): 若い時から手に職をつけたいと考えていて、ヘアスタイリストって楽しそうだな、かっこいいなと言う軽い気持ちがきっかけでした。ヘアスタイリストになるには、日本は国家試験に合格しなければいけないので、当時は働きながら通信で勉強しました。働いていた事もあり、2年間のプログラムを僕は3年かかって終了しましたが、ここでヘアスタイリングの基礎の基礎を習んだ感じですね。地元群馬のヘアサロン2、3店で働いて、最後に移った高崎にあるサロンがその当時、「カッコいい」と噂が広がっていたサロンでした。お店が入居していたビル自体がとても面白くて。1階が雑貨屋、2階がレゲエとハウスのレコード屋、3階がヘアサロン、そして4階が家主の遊び場的アジトになっていて刺激的でしたね。働いているスタッフも刺激的な人たちばかりで、スタイリストをする傍、ファッションのバイヤーやクリエイティブなことをしていました。サロンの中にDJブースがあったりして!21歳から25歳までの4年間働きましたが、ここに来てからヘアスタイリストって本当に面白いと思ったと同時に、スタイリストとして向き合い方も変わって行きました。音楽にハマったのもこの頃で、月に2回くらい外でDJイベントも開催したり、仕事終わりは東京のクラブに朝まで遊びに行って、戻ってサロンワークして、と遊びも仕事もめちゃ頑張ってました。
V: カナダに来たきっかけは?
Z: 以前から海外に興味があり、30歳になった頃独立を意識し始めた時に一度チャレンジしてみようと思ったんです。子供も2人居たので、彼らの教育の為にも良いと思い決断しました。
カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどリサーチした結果、「世界一住みやすい街」と言うオンラインの情報だけでバンクーバーに決めました。英語の能力もゼロで、行ったことも無かったんですけど、ご縁あってバンクーバーの日系ヘアサロンでワークビザを出してもらう事が出来ました。
V: その後、どの様な想いでTECHNE Hair&Salon を立ち上げたんですか?
V: ヘアスタイリストだったら誰でも考えると思いますが、40歳くらいになってから自分のやりたいようにやりたいと思ったんです。単に日本人ターゲットではなく、ローカルに根付くサロンとしてかっこいいスタイルを作るお手伝いができるサロンにしたいと言う想いがありました。場所の候補地を探し始めた頃、タイムリーにオリンピックビレッジで元ヘアサロンのテイクオーバー物件が出たんです。1人で始めるには最適な空間で、オリンピックビレッジは30代のお洒落に敏感な人達が住んでるイメージもあり、ここ良いなと、ピンと来て一番に申し込みをしました。2015 年の年末に見つけて、2016年1月にTECHNE Hair&Salonをオープンしました。最初の1年はスタッフは抱えず、僕1人で全てこなしていました。カット中に予約の電話に出る、なんて事もよくありました。
V: TECHNE の名前の由来は?
Z: TECHNEは、ギリシャ語でartとtechnicの語源なんです。響きが可愛いな、と思って前から決めていました。英語だと、クラフトマンシップという意味ですね。テクニックには拘っているけど、あまり行き過ぎず、半歩先くらい前を言ってるスタイルを提案するサロンのイメージです。ビジネスなんで、バンクーバーの皆さんに受け入れられるのは半歩先位がちょうど良いかなと思ってます。そして、TECHNEの後に「&サロン」と敢えてつけたのは、人と人が集って繋がっていく場所にしたくてそう名付けました。
V: TECHNE ならではのこだわりを教えてください。
Z: 音楽は拘ってます! DJ は一番早くないといけないんで(笑)、他のお店ではかけてないような音楽はかけてますね。よくお客様からも「音楽いいね」と褒められて評判はいいですね。
また、特にパーマ液などの薬剤は、日本製のものを使ってます。日本は沢山の高品質のバリエーションが揃っているので、お値段は少し高くても仕入れるようにしてます。シャンプーはダヴィネスとオラプレックスを扱ってます。
V: 何かサステイナブルな取り組みはされていますか?
Z: あまり多くは出来ていませんが、O’Douds と言うプラントベースのヘアワックスを販売、使用し始めました。
V: pre- とpost-パンデミックで 変化したことはありますか?
Z: 自分のワークスタイルは変わりましたね。コロナの時に、久しぶりに休んで、体が結構疲れてるなと初めて気がついたんです。以前のようにフル活動で働くのは辞めて、今は少し余裕を持つよう努めています。あと、自宅で仕事をするお客様も増えたので、平日も忙しくなりました。忙しい日が分散されたので、サロンの営業時間も日曜以外全て同じに変更しました。
お客様のリクエストにも変化がありましたね。パンデミック中は人に会わないから、今までやらなかったブリーチや旬なカラーを取り入れて、自分の好きに楽しめるようなオーダーが多かったんですけど、。パンデミック後は逆に、「少し落ち着いたスタイルに」と、コンサバに戻る人が多くなりました。面白いですよね!
V: 休日の過ごし方は?
Z: 食べることが好きなので、新しいレストランを探しては食べに行ったりしてます。自然も好きなんで、夏だったらハイキングもよく行きます。仕事は仕事、遊びは遊びとしてしっかりオンとオフを分けてやっていきたいです。
V: ヘアスタイリストでなかったら何になりたいですか?
Z: シェフですかね。手に職をと考えていた頃にシェフかスタイリストかどちらかになろうと決めていたので。父親は3代目大工だったこともあり、自分も手で何か触ったり作ったりと言うのが好きなのかもしれません。
V: 今後のビジョンを教えてください。
Z: 50歳までにもう1店舗作りたいな、と考えてます。将来的にはヘアだけじゃない部門、例えば人を活かすようなマネージメント的なことにもチャレンジしてみたいです。全く違いますがフードトラックとかも面白そうですよね。あまり美容室、美容室するのが好きではないので。TECHNEのメッセージカードにも書いてある言葉なんですけど、「Keep It Loose and Light」!何かこうフランクで、そんなカチッリとしてないけど、仕事する時は良い仕事するよ、的なスタンスでいたいです。本質はしっかり、だけどフレンドリーさや肩の力を抜いた感じを大切にして行きたいですね。僕の座右の銘でもあります。