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Mad Lab Distillery

Scott Thompson, founder

Credits


Photography - HIRO 
Interview -MINA

「Mad Labは、素晴らしい商品を作りとビジョンを現実にする場所です。その為に自らをプッシュ、プッシュ、プッシュし続けて来ました。結果、自分が望む以上の素晴らしいものが形になっています」

Mad Lab Distillery はバンクーバーにある小さな蒸留所です。BC 州産の麦芽を使用したシングルモルトウィスキーや様々な受賞歴のある蒸留酒を製造しています。Mad Labの物語は、ウィスキーの美しさに惚れ込み、大人になってからもその情熱を追い求める一人の男から始まりました。Mad Labの創業者であり蒸留者であるスコット・トンプソン氏は、わずかな予算で蒸留所を設計・建設し、そのビジョンを実現させました。「初期の頃、私は何百年も前から人々は蒸留酒を作って来ているのだから、そんなに難しいことではないはずだと安易に考えていました。でも、実際はブラックボックスのようなものでした。コントロールできないことが本当にたくさんあるんです!」。彼は、蒸留方法の技術について徹底的に勉強を重ね、今では発酵、ブレンド、抽出、熟成の過程で独自の技術を駆使して、まさにハンドメイドのスピリッツを製造しています。その結果、小さな蒸留所にも関わらず、約20種類もの製品を生産し、多くの実績を残してきています。彼らの職人技とも言えるスピリッツを口にすると、それが非常に特別なものであり、注意深く愛情を込めて作られたものであることが分かります。上質なウイスキーが年を重ねるごとに美味しくなるように、Mad Labもウイスキーと共にさらに熟成されて行きます。創業8年目を迎え、第3弾のウィスキーのリリースを間近に控えたスコットが、彼の唯一無二のウイスキーの旅を語ってくれました。

VOICE (V): マッドラボ・ディスティラリーはどのようにして誕生したのですか?

Scott(S): 「私は物心ついたときから酒類業界にいました。人と会話をすることが好きで、19歳になったときにバーテンダーの世界に入りました。その後早い段階からスピリッツの製造に興味を持ちはじめ、周りの友人がクラフトビールの醸造にハマっていた中、私はクラフトディスティラーとして別の道を進みたいと考えました。様々な種類の蒸留技術について納得するまで学び、最初の蒸留に挑戦するまで丸6ヶ月を費やしました。たくさんの試行錯誤を経て、自分の好きな蒸留方法、ポットスチル型蒸留機(単式蒸留器)を使用した蒸留方法を気に入って取り入れています。その方法が一番コントロールしやすく、一番良いフレーバーを出してくれたからです。

長年、趣味で蒸留酒を作ってきましたが、ホスピタリティー・マネジメントの仕事をしているとき、BC州政府が酒税法を改正し、より多くの小規模生産者が営業をスタートするきっかけを作ってくれました。そのタイミングで私も本格的に蒸留所をスタートしようと思ったんです」

 

V: 小さな蒸留所ビジネスの立ち上げは、どのようなものだったのでしょうか。

 

S: 「ビジネス申請について全く無知でした。おいしい蒸留酒の作り方を知っているだけで、経営については何も知りませんでした。それは目をつぶって崖から飛びおりる様な状態でしたよ。連邦政府とのやりとりは思っていたよりシンプルなものでしたが、州政府とのやりとりは非常に難しく、市役所は悪夢のようでした。バンクーバーで自分の蒸溜所を開きたいと考えている人へ一つアドバイスをするとしたら、とにかくあるだけの知識で申請書を書き、未完成でもいいから提出することです。そうすれば、いろいろな問い合わせ窓口でバラバラな指示を受けることなく、担当者が割り振られます。

ビジネスを始めた当時、機材の多くは自分自身で探し回ってかき集めたものです。借りたり、再利用したり、作り直したりしたものがほとんどでした。手作業も多かったですね。排水を確保するために、蒸溜所の敷地を6フィート掘り下げたこともありました。2014年末にようやく酒類販売免許を取得してからすでに8年経ちましたが、なんとか今までやってこれました」

V: あなたのウイスキーへの愛についてお聞かせください。

 

S: 「私はずっとウイスキーが好きで、飲む人をとても楽しませてくれるお酒だと思っています。ウイスキーには複雑さとバリエーションが存在します。20種類のウイスキーがあったら、それぞれまったく個性が違う。我々の最初の樽詰めでも、4つの樽を同じ日に、同じ液体を、同じ条件で詰めましたが、樽から出してみると、結果それぞれまったく違うものになっていました。これが自然発酵のマジックであり、多くのバリエーションが生まれる理由です。私はそれを美しく感じ、惹かれるのです。

多くの人に、「どうしたら完成品が美味しくなると分かるのか?」、とよく尋ねられます。樽に入れた原料そのものがすでに最良なものなので、良い仕上がりになることは必然です。時間をかけそれはもっと良いものになっていくだけです」

V: マッドラボ・ディスティラリーと他のローカル蒸留所との違いは何ですか?

S:「我々の大きな違いは、100%BC州産の麦芽を使用し、シャンパーニュ酵母の連続培養を行い、継続的に発酵を行っていることです。私たちの酵母は非常にユニークでサイズも大きく、強く、現時点で約250世代のものになります。もうひとつの大きな違いは、蒸留機のデザインです。ポットスチル型蒸留機はスコッチウイスキーの世界では一般的なスタイルで、ウイスキーに最大限のフレーバーを与えます。あと、長年にわたって私が学んだことのひとつに、熱源の違いによって風味の違いを生むことが分かっています。私は、直火を利用しています。直火は手作業の部分は増えますが、香ばしくしっかりとした個性を持った美しいウイスキーに仕上げてくれます。

さらに、ダブルウッド・ブレンドも特徴のひとつです。まず四つの小さな樽で1~2年寝かせ、そして適切なタイミングで大きな樽にブレンドさせます。ここでさらに1年以上寝かせ、素晴らしい複雑なフレーバーを生み出しながら仕上げて行きます。こうしたすべての要素が、私たちのウイスキーを際立たせているのです」

V: Covid-19 パンデミック渦中、どのようにビジネスの舵取りをされたのですか?

 

S: 「 本当に大変な時期でしたが良い面もありました。私たちが共に生きていくためには、ローカル企業を支援しなければならないという意識が浸透したのもこの時期です。パンデミック初期には、多くの蒸留所が消毒用アルコール(サニタイザー)を配りはじめました。私たちも、同様にサニタイザーを製造しましたが、毎日20~40本の電話がかかってきて、直ぐに手に負えない状況にまでなってしまいました。そのため一人当たりのサニタイザーの数量を制限しなければならないほどでした。小さな蒸留所である私たちは、より製造しやすいアルコールワイプ(除菌お手拭き)のパックを作ることに切り替えることにしました。それでも、1人2パックまでに制限して、本当に必要としているクリニックや困っている人たちに無料で配るようにしました。サニタイザー配布に関しては、PPEの配布活動をしているCanaskという団体と協力して行っていました。アルコールワイプについては、SSOS(Street Saviours Outreach Society)やHIM(Health Initiative For Men)などの団体と連携し、さまざまな場所へ配布しました。

このような非営利団体と協力していく中で、「Whisky Wizards」という男性向けメンタルヘルスサポートグループのスポンサーになる機会が生まれました。この団体は、パンデミックによって特に大きな打撃を受けた人たちのために、精神的・経済的な援助をおこなっています。昨年の感謝祭では、食事が買えない家族のために、1ダースのディナー・バスケットを用意したそうです。私たちの商品の一つの「スモーク・オールドファッション・ウイスキー」の売上10%は、このグループの活動に寄付されています。パンデミックは非常に興味深い、ストレスの多い時期でしたが、サニタイザーの秘話はCovid-19パンデミックから得た最大の教訓のひとつです」

V: 現在の世界情勢があなたのビジネスに与える影響はありますか?

S: 「日々様々な世界のニュースを追っていると、世界が炎に包まれてる印象を持ちます。個人的に、ビジネスに関しては、いかなる時も一歩一歩前進するのみです。今はあらゆるものが高価になり、入手困難なものも多々あります。幸いなことに、私たちの商品はまだ値上げをする必要はありませんがね」

V: あなたのお気に入りのウイスキーの楽しみ方は?

 

S: 「ストレートをグラスで飲みます。氷は必要ありません。そして何より良い仲間が必要です。それが私にとって一番のウイスキーの楽しみ方です。ウイスキーは時間と労力がかかった産物なので、じっくり一人で楽しんだり、友達とくつろぎながら楽しみたいです。ウイスキーと共に座って、時を過ごして、その一部になる。そんな楽しみ方です」

V: 仕事における一番の喜びは何ですか?

 

S: 「自分が作ったものが、人々に喜ばれているのを見るのが好きです。知らない人から「あなたの商品知っているよ。美味しかった!」と、言われると非常に喜びを感じますね。また、個人事業主なので、自分で仕事のペースを決められることも好きです」

Mad Laboratory Distilling

Scott Thompson, founder

Canadian micro distillery producing award winning hand-crafted, small batch spirits.

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