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FABCYCLE

Irina McKenzie, founder

Credits


Photography - HIRO 
Interview -MINA

「生地はゴミではありません!この言葉が、私たちのサービスの全てです」

年間4,000億平方メートルの繊維製品が生産されていますが、その約15%が未使用のまま廃棄されていることをご存知でしょうか?つまり、毎年600億平方メートルもの繊維製品が廃棄されているという途方もない数字です。この統計は、FABCYCLEの創設者であるイリーナ・マッケンジーさんが数年前に調査したものなので、今はもっと膨れ上がっていることでしょう。更にこれらはプレ・コンシューマーの廃棄物。つまり消費者の手元に届く前の新品の繊維製品のことです。繊維産業は巨大産業である故、このプレ・コンシューマーの廃棄物の流れはポスト・コンシューマー(消費者の手によって使用済みの製品)に比べて小さいとはいえ、深刻な問題を引き起こしています。 

 

FABCYCLEは、廃棄処分されるはずの生地の巻き終わり、端切れ、裁ち落としなどを回収し、新しい目的を持たせ資源化する活動を行っています。バンクーバーの268 Keefer Streetにある同社のTextile Waste ReUSE Centerでは、メトロバンクーバーのコミュニティから集められた廃棄処分前の繊維製品を管理するために、日々忙しく稼働しています。FABCYCLEに日々持ち込まれる不要となった繊維製品は、信じられないほどの量です。ある忙しい午後の日、イリーナさんにお会いして、彼女のサステナブル・ファブリック・ビジネスについてお話を伺いました。

VOICE (V) : FABCYCLEはどのようにして生まれましたか? 

イリーナ(以下、I):「まだ会社員として働いていた2013年、Groundswell Alternative Business Schoolに通い始めたことがきっかけでした。私はずっと自営業をやりたいと思っていて、当時の上司の友人がGroundswellを始め、その社会起業家プログラムに参加してみないかと勧められたことが私の中で大きな転機となりました。当時はまだ循環型経済について語ることは一般的ではありませんでしたが、私はアップサイクル、特に繊維製品のアップサイクルにとても惹かれていました。アップサイクルとは、既に「あるもの」をどう再利用するかと言うとても素晴らしい循環の考え方です。アップサイクルを基盤に、ビジネスとして何が出来るかアイデアを考案することにしました。

その後、Groundswellから生まれた別の組織とコラボレーションする機会がありました。その組織はローカルで衣服のお直しを教える団体で、「Clothing fix-it」というイベントを彼らと一緒に開催しました。参加者に自分の服を持参してもらい、お直しの仕方を教えるというもので、このイベントも私にとって大きな足がかりとなりました。2014年にはFrameworq Education Societyという団体を設立し、衣服のお直しを教えると同時に、お互いに「いらなくなった衣類」を交換しあったり、その他ワークショップイベントなどを開催しています。パンデミック以前はメトロバンクーバーのあちこちで年間50回ほどイベントを開催していました。 

Frameworq設立後、ガスタウンで実験的にポップアップショップを行い、寄付としていただいた生地の巻き終わりや端切れなどまだ使える素材を販売したんです。大盛況の末、ポップアップが終了しても生地の寄付が沢山届くようになりました。この流れで2017年にFABCYCLEは誕生しました。2019年には、現在のチャイナタウンの住所にTextile Waste ReUSE Centerをオープンし、人々が集い、生地を見て、触れて、購入することができる場所を提供することになりました」

 

V: FABCYCLEの仕組みはどのようなものでしょう?​

I:「私たちは、主にファッションデザイナー、学校、企業、工場など、未使用のまま不要となった素材をお持ちの方から生地を回収しています。端切れ、裁ち落とし、巻き終わり、サンプル、不良品、きれいな状態であればどんな布生地でも引き取ります。回収範囲はメトロバンクーバー全域で、直接連絡を受けて、私達自身が回収しに行きます。その後、スタジオで回収してきた生地を整理します。全ての生地を分類し、寸法を測り、写真を撮り、タグをつけ、棚や箱に収納します。リネン、コットン、スパンコール生地、レーヨン、エコバンブー、リボン、ジッパー、時には未完成の手編みのセーターなど、ユニークで美しい素材がたくさん届きます。

私たちの原則のひとつは、廃棄物を資源とみなすことであり、ここではそれが体感できます。スタジオ内で使用する箱や棚、布を巻くためのチューブなども、廃棄物を再利用するよう心がけています。世の中にはこれほどたくさん「いらないもの」が溢れていることに驚かされます。そうしたものに新しい意味を持たせ、人々に興味を持ってもらいクリエイティブに活用してもらえることが、私たちの使命です」

V:生地を買いに来るお客様はどの様な人が多いですか?

I:「アーティスト、職人、趣味、デザイナーなど、いろいろな人がサンプルを求めて訪れます。趣味で裁縫をしている人や、子供に端切れをプレゼントしたい親など、いろいろな素材を試してもらえるように、お求めやすく低価格帯でたくさん用意しています」

V: FABCYCLE創設以来、ご自身の服の買い方に変化はありましたか?

I:「そうですね。古着が好きなのでスタジオ・マネージャーのエリンと一緒に、よくスリフトショップを巡る旅に行くことがあります。なるべく自分の価値観に合う地元のデザイナーから購入し、お互いサポートし合える環境づくりも大事だと思っています」

V: FABCYCLEで働く最大の喜びは何ですか?

I:「スタジオに響くみんなの笑い声を聞く事です。届いた生地の仕分けを楽しんでいる声や、チームで協力し話し合っている光景など...。7人のフルタイムのスタッフと素晴らしいボランティアがスタジオにいます!」

V: ビジネスにおいて、ソーシャルメディアの役割はどのようなものですか?

I:「メッセージを拡散し届けるツールだと思っています。パンデミック以降スタジオに来るお客様が少なくなったので、私たちの活動をSNSで伝えるしか選択肢がありませんでした。常にどう面白く、効果的にメッセージを届けられかるを考えています。例えば、「Unboxing with Erin」というライブストリームを隔週で配信しています。これはエリンが、直近の寄贈してもらった生地の中身を紹介したり、ガーティと名付けたマネキンモデルで着せ替えをする様子などを紹介しています。エリンは4代目のお針子で、その知識と経験から、様々な生地をどう活用すべきかを教えてくれます。彼女のインスタグラムでのパフォーマンスは素晴らしくて、「あのライブストリームのエリンさんですよね?」なんて街で声を掛けられたりする程です!」

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オンラインストアのほかに、FABCYCLEは水曜日から金曜日の11:00~17:30の間営業していて、誰でもオープンにお買い物できます。お裁縫初心者の方でも、あなたの隠れた創造力を発揮させてくれるような楽しい素材が沢山あります。常に、新しいことにチャレンジし、廃棄物をユニークな資源に変えていくFABCYCLEの活動に今後も目が離せません。

FABCYCLE

Irina McKenzie, founder

When fashion designers, brands or apparel manufacturers cannot sell or use the fabric rolls that they have, the fabric is considered to be Textile Waste.

This is their second chance for revival.

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