top of page

WA-BAGEL

Yukiko Iikura, Head Baker at WA-BAGEL

Credits

Photography - HIRO 
Interview - MINA

「記憶に残る食感のベーグルを目指して作っています。和のフィリングだけでなく、日本らしい食感も一緒に味わって欲しいです」​

Yukiko Iikura

 

今年の9月、1周年を迎えたWA-BAGEL by Aburi 。バンクーバーの食通たちに愛される日本食レストラングループAburiの新たなプロジェクトです。「日本の食文化を楽しんでもらう」というAburiのコンセプトのもと、WA-BAGELはニューヨークスタイルのベーグルと日本のカルチャーを融合させた、新しい食感を提供しています。

 

ヘッドベーカーのIikura Yukikoさんは、15年以上の経験を誇るベーグル職人。日本で小さなベーグル屋を営んでいた彼女の夢は、北米で自分のベーグルを作り、家族と共に海外生活を送ること。その夢を実現するきっかけとなったのが、Aburiの代表Seigo Nakamuraとの出会いでした。2023年3月にカナダに移住した後、東京で評判のWA-BAGELを西洋のエッセンスを加えつつ新たに展開しています。

 

Yukikoさんの職人気質が生み出すこだわり抜かれたベーグルは、まさに新感覚の一品。一度口にすれば、その独特な食感とフレーバーの虜になること間違いなしです。小腹が空いたときのおやつ、がっつり食べたいときのランチ、手土産にも最適なラインアップは、ベーグルファンだけでなく、誰でも楽しめるはず。

東洋と西洋が絶妙に融合するマジックを、ぜひ体験してみてください。WA-BAGELから新たな食のトレンドがバンクーバーに誕生しています。ここでしか味わえないユニークなベーグルをお楽しみください!

VOICE (V) : Yukikoさんがベーグル職人になるまでの経歴を教えてください。

 

Yukiko (Y): 小さい頃からパンが大好きで、美味しいパンに囲まれて育ちました。母方の祖父はパン好きで、大正生まれなのに結婚の際には自前のオーブンを持参したというエピソードがあるんです。祖父は亡くなるまでパンを愛し続け、お土産にバゲットを持って行くと、「これはどこのバゲットだね!」と当てるほどでした。

大学を卒業した後は出版の仕事をしていましたが、時間があればパンを焼いていました。そして、とうとう毎日パンを焼きたいと思うようになり、パン屋に転職する決意をしました。学校には通わず、すぐに京都のパン屋さんで修行を始めました。実は、全国で京都が一番多くのパン屋さんが集まっている場所なんです。競争が激しくて、クオリティも非常に高いです。その時、特に大人気だった「ブラウニーブレッド&ベーグルズ」がスタッフを募集していたので、すぐに連絡して働き始めました。

その後、独立して2008年に東京の上北沢に自分のベーグルショップ「ケポベーグルズ」をオープンしました。

 

V : パンの中でもなぜベーグルを専門にしているのですか?

 

Y: パン作りの大きなポイントは発酵です。どの程度膨らませるかが重要で、これが食感に直結するんです。私が修行していた京都のパン屋さんでは、ベーグルを作っていて、訪れるベーグル好きのお客さんたちと話していると、みんな食感にこだわりを持っているなと感じました。やはり、ベーグルの特徴もその食感にあると思います。

私自身、小さい頃から食感に強いこだわりがあって、グミや少し硬めの湯で過ぎたこんにゃくが特に好きなんです。そのせいか、ベーグル好きのお客さんの気持ちがよくわかります。また、パン職人の技術は食感に大きく影響していると感じていて、美味しいパンを作ることは、美味しい食感を作ることと同じだと思っています。そんなわけで、食感に特徴のあるベーグルを作りたいと考えました。また、ニューヨークのベーグル文化が昔から大好きで、リサーチのために現地に何度も足を運びました。でも、同じものを作るのではなく、自分らしいベーグルを作りたいと思って、和風のベーグル「WA-BAGEL」スタイルが生まれました。

 

V: Yukikoさんがこだわるベーグルの特徴は何ですか?

 

Y: まず絶対に譲れないのが食感です!これだけは妥協できません。食感のことを考えすぎて、スタッフには「気狂いだ」と言われることもありますが、それだけこだわっています。私の理想は、外皮と中身のバランスが絶妙で、どこを食べても同じ食感であってほしいんです。

ベーグルは輪の形をしているので、どうしても繋ぎ目の部分と他の部分で食感が変わってしまいます。特に繋ぎ目部分の美味しさが損なわれがちなので、そこを改善して、360度どこから食べても美味しいベーグルを目指しています。

私がイメージする食感は、外側が固くて少し「引き」があり、引っ張ってもなかなか切れない感じ。中は適度な弾力があって、少し空気が入っているような、軽やかさがあります。この食感だと、口の中での溶け具合が良く、噛み切ったときに外皮とのコントラストが生まれます。外皮を通して噛むと、もう一段階噛むときの弾力が外皮よりも少し弱くなる…そんな感覚を大切にしています。

「もちもち」という表現は人それぞれですが、英語でいうと「chewy」に集約されがちで、ちょっと悔しいなと思います。噛み切りにくい感じや、「bouncy」な感じ、さらには「airy」とも表現できると思っています。ここまで詳細に説明して、お客様が私のベーグルを試してくださる際には、絶対にがっかりさせないものを作りたいと常に思っています。このこだわりの食感は、上北沢のケポベーグルズ時代から一貫しています。

 

V : カナダで働き始めて、苦労したことはありますか?

 

Y:和の素材を一から作るのは、本当に大変ですね。例えば、さつまいも&黒胡麻ベーグルを作るとき、日本ではさつまいもの甘露煮が普通に手に入りますが、カナダではそうはいきません。まずはサプライヤーからさつまいもを仕入れることから始まります。皮をむいて、一から甘露煮を作るのは大変な作業ですが、その分、より美味しいものができると思うと、とても楽しいです。

また、WA-BAGELでよく使う餅についても、製菓や製パン用の餅が日本にはありますが、カナダではお米を炊いて、ついて、のして…と、一から手作りする必要があります。本当に多くの素材を一から作っているんです。単に日本の良い和のイメージをそのまま持ってくるのではなく、高品質で一貫して美味しいものを提供することを常に心がけています。

 

V: 日本とカナダで仕事のやり方の違いを感じますか?

 

Y: 自分が作りたいフレーバーを、カナダの人たちに受け入れやすくするために、日々メニューについて考えています。この9月にはちょうどWA-BAGELの1周年記念として、限定フレーバーを作りました。スタッフから「ウベベーグルを作ってみては?」と提案され、和の要素を入れたいと思い、お餅や紫芋を加えて「Ube Mochi」を完成させました。

また、レギュラーのきなこ風味のベーグルも、きなこだけでは伝わりにくいので、チョコレートと組み合わせてみたりしています。和と洋を混ぜ合わせるカナダ人と日本人のアイデアのコラボレーションは、本当に面白いです。

どちらかというと、カナダでの働き方をとても楽しんでいます。スタッフとの距離感が近かったり、ワークライフバランスを大切にするところが特に気に入っています。たとえば、スタッフの奥さんの誕生日にはお休みを取りたいと言われたり、そういった感覚は日本ではなかったのですが、カナダに来てからは私自身も積極的に取り入れ始めました。この感覚は、これからも大切にしていきたいと思っています。

 

V: WA-BAGEL の一番の人気商品は?

 

Y: 一番人気なのは小豆クリームチーズです。これはカナダでも日本でも変わらず愛されています!また、ベーグルサンドイッチも、Aburiのシェフたちのクリエイティブアイディアがたくさん詰まっていて、すごく美味しいですよ。たとえば、Pacificサンドにはスモークサーモンと紫蘇を組み合わせたり、ベジーサンドではフムスに豆腐を使ったり、ミートの食感を再現するために椎茸を取り入れたりと、様々な和の要素を工夫して取り入れています。

 

V: Yukikoさんのベーカーとしての1日を教えてください。

 

Y: 毎朝4時に起床し、朝ごはんを食べてから5時から5時半の間に出勤します。まずは生地を切り整形することから始めて、ベーグルを茹でて、トッピングして焼き上げます。オープンの8時前までにほぼ全ての種類を一気に作り上げるんです。この作業を一日中繰り返し続けています。

時には、興味のあるお店に営業に行ったり、オフサイトイベントに参加することもあります。翌日の仕込みを終えて、午後3~4時には店を閉じて帰宅。帰った後は、子供と散歩するのが楽しみの一つです。海や鳥を眺めると、いい気分転換になりますね。6時頃に夕飯を済ませ、その後パソコンでの作業をすることもありますが、夜9時には就寝。この1日の流れは、日本にいた頃とほぼ変わらない感じです。

 

V: ベーグルを通して伝えたいことは何ですか?

 

Y: 自分の「好き」を仕事にすることについて、好きなことは仕事にならないと思っている人も多いかもしれませんが、私は「好き」を選び、今それが仕事になっています。「好き」から始めて、結果的に技術を身につけて世界に出てみて、生活のための仕事をしながら、家族の絆や子供の経験を深め、さらに自分が好きなことを毎日できる、という環境にいることができてとても幸せです。この気持ちが日本の若手のパン職人にに伝わればいいなと思っています。

wb00.jpg

VOICE 174

WA-BAGEL

Yukiko, Head Baker, 

WA-BAGEL, a delightful & new Japanese-style bagel shop in the heart of Vancouver's financial district. The artful process of crafting our bagels involves filling and twisting select ingredients seamlessly into the dough, all without disrupting its natural texture through kneading or mixing. Japanese ingredients are used to create exciting flavours that are beautifully preserved within every single bite, promising a truly unique experience.

  • Instagram
  • Facebook
MODO LOGO

SUPPORTED BY

bottom of page