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Photography - HIRO 
Text - MINA


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The Dumpling King

Matthew Murtagh-Wu

Credits

Photography - HIRO 
Interview - MINA

“The Dumpling Kingは、餃子という一般的な食べ物を通じて、私の文化的ルーツを紹介します。私のお客さまは、The Dumpling Kingの餃子を食べることで、私や付き合いのあるチャイナタウンの人達、食以外の様々なことに繋がる事が出来ます”

 

人は顔が見える商品が好きです。マットのThe Dumpling Kingはそんな顔の見えるブランドです。人々は彼自身を「The Dumplig King - 餃子王」と呼んでいます。餃子は、誰もがどこでも手に入れられる一般的な食べ物の一つでもありますが、The Dumpling King(餃子王)はなぜ話題になっているのでしょうか?それは、中国人とカナダ人のハーフの彼が、食を通じて自分のアイデンティティを表現し、チャイナタウンの原材料を使った少量生産の手作り冷凍餃子だからです。

彼のブランドには、混血の声、コミュニティの声、文化の声、食の声、歴史の声といった、様々な声詰まっています。彼のおいしい豚バラ餃子を口にすると、マットのことを思い出し、彼のことをもっと知りたくなります。食の力は、人々を繋ぎ、コミュニティの精神を高揚させるパワーがあります。

マットを知っている人であれば、彼は情熱的でユーモアのある男性と言うでしょう。彼は、VOICEインタビューの待ち合わせ場所に私たちよりずっと前に現れ、満面の笑みで我々を迎えて、「今日はありがとうございます。あなた達は素晴らしい!」と最初に挨拶してくれました。
真心のこもった姿勢に、あっという間に我々もThe Dumpling Kingのファンになりました。また、彼は優れたストーリーテラーでもあります。本格的な餃子を作るために、いかに心血を注いでいるかを語るのに、彼以上の人物はいないでしょう。唯一の餃子物語を、彼のVOICEで語って頂きました。
 

VOICE(V):The Dumpling Kingはどのように誕生したのでしょうか?

 

マット(M):  私はいつも自分のために働きたい、自分のボスになりたいと考えていました。餃子ビジネスを約8年前に始めたとき、それが最初の機会となりました。私は、大学教育、旅行や留学、そして銀行員として働くという環境に恵まれて来ました。期待すべきこと、やるべきことはすべてやったのに、しっくりこない。最終的に金融の仕事を辞めた後、私はとにかく料理を作り始めたんです。料理学校に通い、街中のいくつかのキッチンで働き、副業としてプライベートシェフの仕事もしました。その経験は、料理というものをビジネスとして捉えるための良い勉強になりました。餃子はその次のステップであり、私はこの新しいベンチャーを追い求め続けました。そんな中、私の電話番号とともに掲載されたインタビュー記事がDaily Hiveで取り上げられ、一気に広まりました!餃子の注文が次々に来ては、私はキッチンで餃子を作り、袋詰めして、そのまま直接お客さんに届けていました。これが全ての始まりでした。

最初の4年間、お客様に自分で配達し、一人一人に名前入りの手書きのメモを添えていました。この8年間でお客様が結婚し、子供が生まれるなど見てきました。そのような関係性がビジネスの基盤となり、ブランドのコミュニティを作っています。

V: なぜ料理の道に進まれたのですか?

 

M:私は料理番組を見て育ちました。いつも料理が好きで、父が料理するのを見るのが好きで、食べるのが大好きでした。父は香港出身で、母はカナダ人。彼らは旅行やワイン、食事をするのが大好きです。我が家の1日の予定は何を食べるかを中心に考えるんですから!そのおかげで、私も食が大好きな大人に成長しました。 

料理を通して、私は自分の文化的背景や、自分にとっての中国料理とは何かを表現しています。料理は、たったひとつの食材で人と繋がることができるのです。 

V: なぜ餃子なんですか?

 

M:実用的な意味では、保存が効くからです。売り切れなければ、冷凍して後で売ることもできます。もうひとつの理由は、ごく一般的な食材で文化的な自己表現をしたかった。自分のやり方で作りたかったんです。このビジネスでは、私自身バンクーバー・チャイナタウンからできる限り仕入れることを義務付けています。食材を提供してくれるコミュニティーに根ざすよう心がけています。私はインスタグラムを通じて、食材がどこから来ているかをとてもクリアにしています。豚肉は、チャイナタウンで50年以上続く家族経営の精肉店「Dollar Meat Store」から仕入れています。オーナーの息子は50代後半で、毎週月曜日に注文をメールすると直接届けてくれます。餃子の中に入っている野菜や干し椎茸もすべてチャイナタウンで調達しています。私の餃子は、私が自分が考える中国人らしさを表現しているのです。

 

V: バンクーバー・チャイナタウンとの関わりをお聞かせください。

 

M:それは私のクリエイティブなインスピレーションであり、同時にノスタルジーでもあります。父がチャイナタウンで働いていたこともあり、小さい頃から家族でよく買い物に行ったり、外食したりしていました。チャイナタウンのビジネスは、子供の頃から見覚えのあるファミリービジネスが多いんです。お肉屋さんは、私が小さい頃から同じ人がやっているんです。餃子の皮を仕入れているお店の娘さんは私と同じ高校に通っていたんですよ。

チャイナタウンでは、誰もがなんとなく繋がり顔見知りのようで、循環しています。私のビジネスも同じく、地元の人をサポートしながらコミュニティーに関心を寄せ、私の中国人としての側面を紹介しています。チャイナタウンのお店は皆電話を取らないので、注文は全て中国語でテキストし支払いは現金、昔ながらの手書きの領収書を受け取ります。時には、下の階で一緒に食べようと誘われることもあります。やり方はとてもマンツーマンで、昔から変わることなく一貫しています。違う調達先はどうですかと打診されることもありますが、いつも断っています。私は、食材の調達先を変えることに興味はありません。それが私のブランドのコアバリューだからです。

 

V: 餃子ビジネスが、中国人ハーフであることを自覚することにどのような影響を与えましたか? 

 

M:自分の中国人としてのアイデンティティを考えるようになったのは、幼い頃からです。父は仕事が忙しかったので、私は広東語を習ったことがありません。学校でわざわざ自分の家族の歴史を勉強しなければなりませんでした。大学では、中国史、中国哲学、北京語、広東語を中心に勉強しました。勉強している間に、中国を旅行したり、台湾に1年間住んだりしました。混血であるため、自意識が強く、自分はアジア人としては不十分、中国人としては不十分と感じていました。私はそのことと真剣に向き合い、考え、今では自分自身を好感的に受け入れられるようになりました。

餃子ビジネスも間違いなく、私の自己理解に対し影響を及ぼしました。私はチャイナタウンの業者と仕事をし、中国語を話し、中国のブランドを持っている。それがどういう意味かは別として。自分なりの中華食品を提供し、それを人々が受け入れてくれるのはとても幸せなことです。 

 

V: 他のブランドの餃子との違いは?

 

M:私の餃子が中国風か中国風でないか、特別なものであるかは分かりません。私は8年前から変わらない3つの味にこだわっています:JWB(ジョニーウォーカーブラックラベルウィスキー)の豚バラとネギ、JWB豚バラとネギとホットチリ、そして台湾風。これらはビジネスを始めた当初から同じ味で毎日同じことを繰り返し行っています。私自身も変わりません!それが私の特徴であり、長年変化のない商品に価値を認めてもらえるのは、とてもありがたいことです。「ステーキではなく、シズルを売れ!」と言う言葉がありますが、それはつまりその商品の付加価値やそれから生じるイメージを一緒に売ることが出来たらセールスは成功すると言うことです。

V: イーストバンクーバーにあるCoho Commissaryでお仕事をされていますね。そこでの環境はどうですか?

 

M:私は2020年のパンデミックの時にちょうど入居しました。彼らのキッチンにいるのはいつもクールな経験です。同じような仕事をしている人が周りにいなければ、この仕事をするのはとても難しいと思います。私たちは皆沢山の食べ物を作りながら、皆で助け合っているのです。Cohoはサブコミュニティーの中にいるようなもので、ほとんどシットコムのような感じですね。

 

V: 作業の一日の流れを教えてください。

 

M: 朝の8時45分~9時にはキッチンに到着し、肉屋に注文をテキストします。30分ほどで届くので、それを待つ間、各設備の状態を確認します。毎朝、新鮮な豚バラ肉を挽くので、肉質はとてもフレッシュでふわふわなんです。11時前にはスタッフが到着し、肉や野菜を手作業で処理し、混ぜ合わせる作業を開始します。レシピは極秘で私が影で行う作業です。すべて事前に私が計量しているので、スタッフは材料を混ぜるだけです。その後、フォークで折っていきます。これまで75万個以上の餃子を作りました!冗談抜きで自分だけでも40万個以上は折ってるでしょうね。1個の餃子につき6秒の計算です。その日のうちに冷凍して、翌日にはお届けする。それを繰り返しています。

V: あなたのカナダ人らしい側面を教えてください。好きなカナダ料理は何ですか?

 

M:キンキンに冷えたビール!(笑)母の実家がイギリスなので、定番のローストチキンとローストポテトを食べて育ちました。

 

V: もし、あなたがこのビジネスを運営していないとしたら、何になりたいですか?

 

M:書道や武道など、趣味はたくさんあります。タイボクシングは15年間練習しています。もっと時間があれば、楽器を習いたいですね。以前はピアノとジャズサックスをやっていました。もっとクリエイティブな思考的創作や絵、文章を書くこともしてみたいですね。書くことは大好きです。

 

V:あなたにとって「食」とは?

 

M:今でも食を研究したり、話したり、料理したりするのが好きです。ビジネスを運営し、フードシステム、持続可能性、利益率などについての理解が深まるにつれ、食に対する考えは変化して、複雑な関係になっていますが。それでも大好きです。食はクールな愛人です。

 

V: The Dumpling Kingであることの一番の喜びは何でしょうか?

 

M:Cohoにいる人たちと一緒にキッチンにいるとき、みんなで頑張っているとき、バイブスしているときが一番好きです。2つ目の喜びは、最近よくイベントも開催するんですが、そのイベントに赤ちゃん連れのお客さまを見かけたときです。The Dumpling Kingのイベントに参加したいがために、家族全員を連れてきてくれるんです。私の餃子を食べている赤ちゃんの写真を送ってくれるお客様もいるんですよ。それは、私にとってとても大事で特別なことです。
 

The Dumpling King

Matthew Murtagh-Wu

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