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Long Table Grocery

Amy Quarry, owner

Credits


Photography - HIRO 
Interview -MINA

「Long Table Groceryは、コミュニティーの結束を目的としたプロジェクトであり、コミュニティーによって育まれている空間です」

エイミー・クォーリーは、BC州北部におけるローカリズムとコミュニティ作りに精力的に活動をしている女性です。2017年4月、ケネルを拠点にローカルフードシステムを率先するLong Table Groceryを姉と共同で設立しました(その後、姉は他のプロジェクトに異動)。Long Table Groceryは、周辺の50以上の農家や食品生産者から、季節の野菜、果物、肉、卵、チーズ、コーヒー、保存食、焼き菓子など、新鮮なオーガニック商品を提供することに特化するだけでなく、食を通じてケネルのコミュニティー作りに積極的に取り組んでいます。

彼女はケネルとウィリアムズレイクの間にある牧場で育ち、子供の頃、姉妹で農場生活を送りました。当時彼女は農場の生活にあまり興味がありませんでしたが、その経験が今の彼女を形作ったことに間違いありません。グラフィックデザイナー、出版業、ビジネスコンサルタントとしてキャリアを積んでいた頃、ローカルエコノミーの発展に取り組むことに興味を持つようになりました。ローカルスモールビジネスとの関係を築きながら彼らが置かれている状況や問題を理解するにつれ、また自身もスモールビジネスの経営者と言うこともあり、どんどん関心が高まっていきました。2006年当時、地産地消やローカルエコノミーついて語る事はあまり一般的ではありませんでした。「今は、以前より間違いなく意識が高まっています。自分の買い物の選択がビジネスに影響を与え、より大きな変化をもたらすことができるという事を人々はより意識するようになりました。ローカルビジネスが成長すれば、コミュニティーの皆が恩恵を受けます。私たちは、互いに助け合うことが出来るのです。」

Long Table Groceryを設立する以前、エイミーはケネルで「Small Town Love」というプロジェクトを立ち上げ、その地域に根付いたさまざまな企業のストーリーを発信していました。このプロジェクトから更に生まれたのが、Northern Development Initiative Trustと共同で発足した「Love Northern BC」という別のローカルプロジェクトです。「Love Northern BC」のウェブサイトでは、BC州北部30の町にある1,500以上ものビジネスを紹介しています。

このように、エイミーは2017年にLong Table Groceryを始める前から、ローカルエコノミーの活性化に広く貢献してきました。「 Long Table Grocery は、グロッサリー宅配ボックスのサブスクリプションサービスから小さくスタートしました。今のような形になるとは想像もしていませんでしたが、そのサービスは始めた当初から大きな反響があり、私たちのビジネスは自然と進化していきました。」現在、Long Table Groceryは、ローカルの新鮮な野菜をオンラインショップや週1回のデリバリーを通して提供するだけでなく、新しくキッチンも併設しカフェとケータリング会社も運営しています。キッチンではお店で余った食材を活用し、スープ、焼き菓子、新鮮なサラダやサンドイッチなどを作っています。その結果、通常30~50%の食品廃棄物が発生するグロッサリー業界の基準をはるかに下回る、1%未満の食品廃棄物でお店を運営することに成功しました。またローカルの慈善団体と提携し、寄付やPay-It-Forwardプログラムを通して、毎週約30世帯の家族に健康的な食事を提供しています。

また2019年以降、Sprout Kitchen Food Hub and Incubatorのプロジェクトマネージャーも勤めたエイミー。このプロジェクトは、バンクーバーのコミッサリー・キッチン同様に、地域の食や農業関連ビジネスの人々がシェアキッチンを利用し、自分たちの商品を作る場を提供しています。2021年夏にはLong Table Groceryのビジネスをさらに拡大。隣にTurntable Vintageという姉妹店をオープンさせました。小さなレコードと古着のお店で、レコードと古着だけでなく、アート、ジュエリー、ギフトなどを売買するために人々が集まってきます。この新しいビジネスは、ゴミとして廃棄されるモノを再販し、若者に音楽とファッションを楽しむ場を提供し、地域の雇用を生み出す一端を担っています。

エイミーが環境、食糧、労働システムの現状について語るとき、これらの問題を改善するために彼女自身の多大な時間とエネルギーを費やしてきたことは間違いありません。地元ケネルで生まれ育った彼女は、地域の変革を担うローカリズムにおける生粋のリーダー的存在なのです。

VOICE (V): ケネルの町の魅力は何でしょうか?

Amy(A): 「どんな地域でも最もユニークなのは人だと思います。そこに住む人々によってさまざまな物語が生まれるからです。ビジネスコミュニティーもまた、地域の文化的要素に影響を与えます。ケネルは、自営業のビジネスが多く女性経営者も多くいます。また、ボランティア活動やコミュニティーの為に自分の時間を惜しまず費やす人も多いのが特徴です。私のビジネスは地域に根付く食のパイオニアたちの長年の努力の上に成り立っています。 特に農場や牧場の経営者の多くは、ローカルの持続可能な食のムーブメントに多大な時間を捧げてきました。この流れを私も引き継ぎ、彼らの偉業を絶やさないように日々活動しています」

 

V: ケネルのフード・レジリエンスの現状について教えてください。

 

A: 「ケネルのフード・レジリエンスに関しては、やるべきことがまだたくさんあると思います。畜産業と食肉加工業は盛んですが、農産物を栽培している人はあまりいません。野菜栽培者やその他の食品ビジネスの可能性はまだ沢山あります。しかし、未だ地元以外から入ってくる食品に依存しているのも現状です。地域での食の生産性を高めないと洪水のような自然災害が起こった時、私たちは大きな打撃を受けやすいのです。また、北カリブー地域の加工施設は非常に限られているため、加工の工程のみバンクーバーで行い、商品としてパッケージされてからまた戻ってくると言うケースが多々あります。これはちょっと馬鹿げていますよね。加工施設を都市の一箇所に集約することは、長期的な視点から見て持続可能な選択肢とは言い難いと思います。すべてのインフラを整えるまでには、政治的な決断、地域社会の意志、消費者の関心、そして資金が必要となります」

 

V: Long Table Groceryのコミュニティーにおける役割は何だと思いますか?

 

A:  「食を通してコミニュティーを育てる “というのが私たちのミッションです。ローカルビジネスに投資し、できるだけ多くのローカル商品を購入していくこと。この行為こそがコミュニティーを成長させるのです。Long Table Grocery は開店からの5年間、200万ドル以上を地域経済に還元してきました。イベントやミーティング、ワークショップなど、人が集う場所を作り、人と人をつなげるコミュニティーを形成してきました。また、地域の他の慈善団体ともパートナーシップを組み、コミュニティーの和を広げられるよう努めています。例えば、私たちのPay-It-Forwardプログラムは、食糧難に直面している家庭に食事を提供するものです。健康的で新鮮な食糧を必要としている人たちに届けるために、このようなさまざまなプロジェクトを行っています」

 

V: 店頭に並ぶ商品はどのように選別しているのですか?

 

A: 「カリブー 地域に根付いた50以上のローカルブランドを扱っていますが、BC州の他の地域からも商品を仕入れています。私たちは感覚的に他のサプライヤーと密な関係を築き、商品を厳選しています。ケネルで作られているすべての商品を扱っているわけではありませんが、ビジネスオーナーにとって有益であれば、できる限り多くの商品を扱うようにしています。小規模なビジネスでは、ファーマーズ・マーケットや直売したほうがいい場合もあります。私たちはそれらも理解し、サポートしています」

V: もしケネルに住んでいないとしたら、どこに住みたいですか?

 

A: 「海の近くに住みたいですね。歴史が好きなのでヨーロッパにも憧れます。でも今はここに落ち着き家族もいるので、BC州のほかの小さな町に住んでいる自分が想像できません。

この町に住む人たちが私の家なのです。私の居場所は私のコミュニティーがある場所だと思います」

 

V: 夏が近づいてきましたね。あなたの夏の楽しみは何ですか?

 

A: 「友人と集まり、外で音楽を楽しむこと。家族でボウロン湖とウェルズに行くのも好きです。 毎年夏になるとそこにキャンプに行きます」

 

V: ケネルを訪れた際、ぜひ体験して欲しい地元の隠れた名所を教えてください。

 

A: 「ケネルに来たら、ぜひEdgewood Farmを訪ねてみてください。ケネルの市街地から南側に少しドライブしたところにあります。102エーカーの歴史ある美しい農場に、素敵なギフトショップとコーヒーショップがあります」

 

V: Covid-19や最近の気候変動によって、あなたのビジネスに影響はありましたか?

 

A: 「Covid-19 が大流行した当初は、店舗を閉鎖せざるを得ず、最初の数カ月はグロッサリー配達に専念しました。当時、グロッサリー配達をしていたのは私たちだけだったので、コミュニティーの人たちがヘルプを必要としているときに、私たちはある意味、力になることが出来ました。小さな町で小さなビジネスを営んでいると、常に変化球の球をうけるようなイベントが起こります。2017年の山火事のときは、すべての道路が閉鎖され、バンクーバーから食料品が届かなくなり、2週間休業せざるを得ませんでした。正直なところ、Covid以前にも厳しい状況を経験していますが、パンデミックは間違いなく大きなもののひとつでした」

V: あなたにとって、食とは何ですか?

 

A: 「私にとって食はコミュニティーであり、文化であり、愛であり、家族であり、普遍的な価値を持つものです。人々がつながり集うための手段でもあります。フードシステムという観点から見ると、私たちは消費するお金のほとんどを食に費やしています。食に費やす額が大きいだけに、食料システムを変えることは、大きなインパクトとなります。地産地消の食システムに投資することで、よりポジティブなインパクトを生む可能性は大いにあると考えてます」

V: 仕事の中で一番喜びは何ですか?

 

A: 「Long Table Groceryで働くうえで一番好きなのは人です。私の夫でビジネスパートナーであるウィルや、15人の従業員からなるチームは、皆家族のように仲が良いです。 また農場や牧場の経営者たち、食ビジネスで働く人々、食のコミュニティーについて親身に考えてくれている地域の人々など、多くの素晴らしい人たちにの出会いはかけがえがないものです」

Long Table Grocery

Amy Quarry, owner

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