La Frenz Winery
Ross Baker, winemaker
Credits
Photography - HIRO
Interview -MINA
「私たちは目標に対して堅実だと思います。それがワインの一貫性と品質にとって重要だからです。大事なことは、ヨーロッパで家族がワインを造るのと同じように、ブドウ畑を知り、自分たちのやっていることを理解し堅実でいることだと思います」
ラ・フレンツは、美しいオカナガン湖に面した果樹園とブドウ畑が広がるのどかなナラマタベンチにある家族経営のワイナリーです。VOICEでは毎年このワイナリーを訪れ、その質の高いワインに魅了されています。97%近くを自社農園で栽培しており、質の高いワインを造るには土地を耕してこそ!という彼らの美学が感じられます。
葡萄がどこから来るかで、本当にワインに大きな違いが生まれます。受賞歴のあるリースリングは、その例外的な例です。2021 リースリング・クローン49はオリバーの南にあるロッキーフェラー・ヴィンヤードのもので、より熟した色の濃い果実が、オーチャードフルーツや桃のさわやかで豊かな味わいのオフドライ・スタイルを生み出しています。2021 リースリング・クローン21はワイナリーの向かいにあるフリーダム75ヴィンヤードから造られています。よりフードフォワードワインで、よりエレガントで硬く、柑橘類やライムが感じられます。どのワインもブドウと土地をアピールしており、1本1本購入したくなるような味わいです。
ラ・フレンツは昨年、WineAlign 2021 National Wine Awards of CanadaのBest Small Winery of the YearとWinery of the Yearの2位を獲得し、優れた業績を祝いました。今年から、オカナガンの真髄を理解し、ずっとここで育ってきたロス・ベイカー氏を新たにワインメーカーに迎え入れたことも話題となりました。VOICEではラ・フレンツでの取り組みやワインについてロス氏にお話を伺うことができました。
VOICE (V): ワイン業界に入ったきっかけはなんですか?
Ross(R):「私はノースバンクーバーのリン・バレーで生まれ、1歳の時にケロウナに引っ越しました。ケロウナの大学では生化学を学びました。19歳になった時、ワインに興味を持ち、この分野でキャリアを積みたいと思うようになりました。最初の収穫は、ナラマタのレッド・ルースター・ワイナリーで行いました。ニュージーランドで少し働いた後、ケトル・ヴァレー・ワイナリーに戻り、その後クエイルズ・ゲート・ワイナリーで8年間働き、今年からラ・フレンツでワインメーカーになりました」
V: 新しいワイナリーへの移行はどのようなものでしたか?
R:「エリスとジェフ・マーティンとは、現行ヴィンテージとオールドヴィンテージのテイスティングを行い、意見交換をしました。ラ・フレンツの品質を守ることが第一ですが、それでも私は、特にピノ・ノワールでは、何か違うことを試してみたいと思っています。私はピノ・ノワールに大きな愛着を持っています。ピノ・ノワールの野生発酵を数多く手がけてきましたが、実際の畑での発酵は、ワイナリーで得られるものとは異なります。そこで、畑での発酵を試してみたいと思っています。畑での自然発酵は、ワイナリーにあるものよりも畑にある野生のものをより多く表現することになります。少なくとも数種類、異なる樽で実験するのは面白いでしょう」
V: あなたから見て、ラフレンツの特徴は何ですか?
R:「家族のビジョン “だと思います。ジェフと彼の家族は、まず果実の品質にこだわります。それは、真の表現を生み出すために重要なことであり、私がチームに参加する際にも重要なことでした。それが私の仕事であり誇りでもあります。ブドウの品質が良ければ良いほど、ワインメーカーとしての私の仕事はシンプルになります。農場で何をするかがすべてとなります」
V: ワインづくりでは、どのようなサステナビリティを実践していますか?
R:「ワイナリーでのさまざまなプラスチック製品の再利用について話し合っています。埋め立て地が大きくなり、プラスチックのリサイクル施設はBC州全土に対しデルタに2つしかありません。ワイン造りの一環として、生産に関わるものには、無駄がないようにリサイクルや再利用の方法を見つけたいと思っています」
V: 今年がいいワインになるかどうかは、どうやって判断するのですか?
R:「収穫する前に、ブドウを試食することで大抵は分かります。セラーに入れ、香りが出てきたら、試飲して、品質がどこから来ているのかを分析するのです。プレスする頃には、良い品質のワインになるかどうか分かるはずです」
V: ワイナリーで働く最大の喜びは何ですか?
R:「飲んで会話をする! あと収穫も大きい喜びの一つです!よく、収穫期をミュージシャンがステージに上がる時に例えますが、ミュージシャンがステージに上がる時、昇天してハイになります。収穫期は、眠れませんし、いつもワクワクしています!」
V: 収穫期の一日はどのようなものですか?
R:「一日は出来るだけ早く始めます。収穫の様子を見に行き、別の畑に行き、葡萄の味見をし、それぞれの畑の収穫期を見極めます。その後ワイナリーに戻り、ワイン作りの準備、発酵のテイスティングをし、チームと話し合います。通常、帰りにもう一度ブドウ畑に戻り、最終確認をします。常に熟度の変化がありますし、果実を食べるクマに注意を払わなければいけませんから」
V: ナラマタのワインメーカーコミュニティはどうですか?
R:「先ほど、ルビーブルースワイナリーで収穫前の懇親会を行いました。この地域には小さな生産者がたくさんいるので、何かあった時や機材が壊れた時など、いろいろと助け合います。共有しお互いオープンでいることがとても大切だと思います」
V: 他にナラマタでお気に入りのワイナリーはありますか?
R:「Daydreamer、Lake Breeze、そしてGavinがワインを作り奥さんのShanaが手作りチーズを作っているUpper Benchが好きです。またNaramata Benchに今年オープンしたAbandoned Rail Breweryという新しい醸造所もあります。ここでは自社栽培の大麦を使ったビールを醸造しています。この業界では一日の終わりにビールを飲む人も多いんですよ」
V: 他のワインカントリーで仕事をするとしたら、どこですか?
R:「ニュージーランドのセントラル・オタゴですかね。そこは世界で最も優れたピノ・ノワールが生産されている場所だからです。私はピノ・ノワールが本当に好きなんです!またその地域は、農業に対してとても謙虚で、ラ・フレンツのような小区画の土地を大切にしています。それは私にとって重要なことです」